曹洞宗(貞昌院)の葬儀について

曹洞宗(貞昌院)の葬儀について

はじめに 

 曹洞宗(そうとうしゅう)の葬儀の特徴は、授戒(戒を授け仏弟子になっていただくこと)を行い、引導を授ける(仏世界に入らしむこと)ということにあります。
授戒は、最近では葬儀の際に授けることが多いのですが、もちろん、生前授戒(生きているうちに戒を授ける)こともできますし、それが本来の姿であるともいえます。生前戒名をご希望の方は、貞昌院までお気軽にご相談ください。
亡くなられた人と、残された人の別離の儀式はとても大切なものです。貞昌院においても葬儀を丁寧に心を込めて行い、参列された方に供養の方法を説き、生きていくうえでの智慧を持っていただけるような葬儀を心がけています。
葬儀の中で用いられるお経や、回向などは、ほとんどが日本語口語体ですので、聞いていただけると、どのような儀式を行っているかがある程度お分かりになると思います。しかし、耳で聞くのと文字を見るのではまた理解も異なると思います。
そのために、ここのページにおいて解説をさせていただきました。
書かれている内容は、貞昌院におけるものであり、同じ曹洞宗でも地域により差異が生じることを予めご了承ください。

1、臨終諷経(りんじゅうふぎん)

ご家族が死を迎えられたとき、家族や主だった親戚に伝えるのと同時に、出来るだけ早く貞昌院にもご連絡ください。
貞昌院では、必ず臨終諷経(=枕経)を行うようにしています。
ご遺体が安置されるのはほとんどの場合ご自宅だと思いますが、花と蝋燭と清らかなお水をお供えし、修証義や舎利礼文などを読経いたします。
法要後、葬儀の日程や詳細の打合わせを行います。ご家族のみなさまに故人の生前のことなどをお話いただき、また、葬儀をどこで行うか(貞昌院・斎場・自宅・集会所)、葬儀をどのように行うかを御伺いいたします。貞昌院の本堂・客殿を使用の場合はこちらをご参照ください。

特に臨終諷経の際にご家族の方とお話を伺うことは、授戒を行い戒名を授けること、引導を渡すことのために特に重要なところです。
出来れば、履歴書用紙のような形式で、簡単にまとめていただけると助かります。また、生前にご自分で経歴をご用意くださるのも宜しいかと思います。戒名にご希望の文字を入れることも可能です。

2、葬儀に際する事務的手続き

死亡届などの公的書類のほか、葬儀社との打合わせなど、どのような葬儀にするのか、やるべきことも多く、どうすればいいのかわからない点もあると思います。
参考になるサイトをいくつかご紹介いたします。

3、通夜(つや)

通夜は、本来は家族・親族や縁のあった友人知人のみにより行われ、最後に静かに一夜を送るものでしたが、昨今は会社勤めの方も多く、通夜のほうが却って参列者が多いことも珍しくありません。
通夜に御読みするお経は 仏遺教経(ぶつゆいきょうぎょう)です。これはお釈迦さまが入滅の際に最後の説法を説いた様子を書いた経典で、日本語口語体のお経ですから、聞いていただくと内容はお分かりになると思います。
通夜に際し、白木の位牌を、棺前の中央に掲げます。通夜の後に、ご法話をさせていただき、その際に、どのようにして戒名がつけられたか、戒名の意味をご説明させていただきます。

4、葬儀(そうぎ)

葬儀のもっとも大切な部分は、授戒(戒を授け仏弟子にすること)を行い、引導を授ける(仏世界に入らしむこと)ということです。
そのために、次のような流れで行います

(1) 剃髪(ていはつ)

煩悩の世界をはなれ、仏道の道に入るために、僧侶の出家儀式と同じ偈文をおとなえし剃髪の儀式を行います。
(2)洒水(しゃすい)
清らかな水をふりそそぎ、身も心も清浄にします。
(3)授戒(じゅかい)、懺悔(さんげ)、三帰戒(さんきかい)、三聚浄戒(さんじゅじょうかい)、十重禁戒(じゅうじゅうきんかい)、血脈授与(けちみゃくじゅよ)
この世での小罪を懺悔し、仏弟子として守るべきこと、仏の戒め、仏の法を授けます。そして、仏弟子の証である血脈(けちみゃく)を授けます。血脈は、お釈迦から、あらたに仏弟子になられる方までの法の系図が全て記されています。
(4)入棺諷経(にゅうかんふぎん)
大悲心陀羅尼(だいひしんだらに)を読経いたします。このあいだに、参列者焼香が行われます。
(5)龕前念誦(がんぜんねんじゅ)
諸仏の称号を唱え、その功徳が故人の悟りを祈念します。十仏名、舎利礼文を読経します。
(6)挙龕念誦(こがんねんじゅ)
大宝楼閣陀羅尼(だいほうろうかくだらに)の読経の後、太鼓、ハツが鳴らされます。
(7)引導法語(いんどうほうご)
導師が故人の生前を漢詩より唱え、悟りの心境を表します。このとき、線香(たいまつ)により右回り、左回りに円を描きます。故人を悟りの世界に導くのです。
(8) 山頭念誦(さんとうねんじゅ)
仏弟子になられた故人が、一路涅槃に入り、仏性の覚醒を助けてくれることを祈願します。

5、告別(こくべつ)

葬儀に引き続き行われることが多いので、引導法語のあとが告別式になります。
施主様より、お焼香をしていただきますが、心の中で故人へお別れの言葉を唱えていただくのが良いでしょう。
修証義を読経いたします。

6、出棺(しゅっかん)・荼毘(だび)

告別式が終わって、お棺に生花や思い出の品をお入れし、最後のお別れになります。
火葬場への出棺、火葬での荼毘前のご焼香、荼毘後の収骨が終わり、初七日の式場(貞昌院、葬儀式場、ご自宅など)へ向かいます。
7、初七日(しょなのか)法要

正式にはお亡くなりになった日を一日目と数え、7日目に行いますが、最近ではほとんど葬儀、荼毘の後に行われます。
葬儀の日から初七日まではほとんど間がないので、遠くから参列される方に改めて集まっていただくのも大変だからということが理由かもしれません。
般若心経による本尊上供のあと、観音経や大悲呪などを読経いたします。
法要が終わったあと、法話をさせていただいています。

8、葬儀の御布施について

 葬儀のお布施の額についての質問がよくありますが、施主様によりさまざまな考えもありますでしょう。

 貞昌院では、葬儀当日の式場では御布施は受け取らないことにしています。これは、葬儀当日はいろいろと施主様も立て込んでいらっしゃるでしょうし、こちらも領収書の発行が出来ないからです。
ですから、御布施につきましては、葬儀の前、または葬儀が一段落して落ち着いたところで貞昌院へお越しください。お布施の額も冷静に判断して、納得のいく範囲で構いません。また、葬儀を機にお寺に寄進をいただけるのでしたら、それは有難いと考えています。

なお、御預かりした全ての御布施については、領収書を発行し、寺院法人会計(宗教法人の収入)として、貞昌院で責任をもって寺院の運営全般に資させていただいております。御布施は僧侶に対する謝礼ではなく、お寺に対する財施なのです。

最後に

 葬儀作法は、地域のしきたりによりや考え方は様々です。
社葬のような大きな葬儀から、ご家族だけでお別れをしたいというご要望まで、可能な限り施主様のご要望にお応えしていきたいと考えています。

分からないことがあっても自身勝手に判断したり、周りに振り舞わされたりすることのないよう、貞昌院にお気軽に御相談下さい。

 

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